校長室だより

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令和元年度修了式 式辞

修了式は実施できませんでしたが、24日・25日のクラス別登校日で生徒に配布した式辞を掲載しますので、お読みください。

 

令和元年度修了式 式辞

 人は、未知のことや見えないものに対して不安や恐怖を感じやすい生き物です。今回の新型コロナウイルスでそのことがはっきり分かりました。2003 年に「SARS」が発生したときも大混乱しました。病原ウイルスがコロナウイルスであることが見つかり、感染経路が明らかになり、患者・病原体との接触の機会を減らせば、感染拡大は防げることが分かってからその不安感は減少していきました。この間数カ月、それ以前は数年・数十年かかった感染症もあったようです。現代の科学は不安が存在する時間を急速に縮めてきました。画期的な進歩です。

 新型コロナウイルスは「飛沫」で感染すること、「密閉空間など換気が悪く、多くの人が密集して過ごし、近い距離で会話や発声が行われる場所」が感染しやすい場所であること、またウイルスを含む飛沫に触れた手で顔を触り呼吸とともに飛沫を吸い込んでしまう場合もあること、手指を介して目・鼻・口などの粘膜から「接触感染」することもわかってきました。「感染リスクが高い場所に行かないこと」、「石鹸で手を洗う、手指をアルコールで消毒する」こと、「共用する物品を消毒する」ことや「換気をする」ことが有効な対策であると情報共有されてきました。どうすればよいのかがわかってきて不安が減少し、行動も活発化しつつあります。

 しかしながら、子どものころには、あらゆる未知のことに近づき、初めて見るもの、珍しいものに好奇心を持ち、触ったりしながら、それがどういうものなのかを探査することで、生活の範囲を広げようとしてきたはずです。すべての生物はこの間に知性を育み、スキルを磨き、環境に適応するために学習するわけです。食べる、身を守るといった「本能的にできる」と思われていることも、最初は何もできないところから、こうした経験をとおして、少しずつできるようになっているのです。これは私たち人間が本来持っている力です。

 「見えないものの実態を明らかにしていくことで不安をやわらげ、新しいことに挑戦して今までなかった力を獲得していく。」「これが自分を成長させるNICEな方法だ!」と思いませんか。学習、進路、部活動、学習と部活動の両立などの「見えないもの」は何だろう、どこを見れば、どこに行けば、誰に聞けば、実態がわかるのだろう。それを解明すれば、君たちが本来持っている未知のものへの好奇心が呼び起されて、自分の未来に向けた新しい挑戦を始められるのではないだろうか。

 

                          県立上尾高等学校長 林 昭雄

 

第60回卒業証書授与式 式辞

保護者の皆さま、在校生が不在でしたが、本日卒業証書授与式を挙行いたしました。

凛としたなかにも、卒業生からは本校への愛着が感じられ、立派な卒業式でした。

式辞を以下に掲載いたします。

 

 保護者の皆様も在校生もいない今日の卒業式となりましたが、この式場は先生方みんなで準備しました。心に残る、良い思い出となってほしいと願っています。

 着任間もないある春の日、電車の中で、座席に座る生徒を見つけました。北上尾ではないのに、鞄の中で何かを探す仕草をしていた生徒は、お年寄りが乗ってくるのと同時に席を立ち、違う車両へと向かいました。さりげなく席を譲る心優しさに上高生らしさを感じた瞬間でした。体育祭大縄跳びの大記録、参考書を手に登校した生徒、自習室で朝も放課後も学習に励む姿、相手を尊重し力の限り戦った部活動、最後まで遅刻が増えなかった皆さん、どれも、みんな上尾高校の誇りです。後輩は、記録を破ろうと日が暮れるまで大繩を跳び続け、英単語を手に登校し、遅刻も減らしました。あきらめないという大きな宝物を残してくれた皆さんに感謝します。

 努力する人は希望を語り、怠ける人は不満を語るとよく言われます。努力しても何日も結果が出ないことがあるかもしれません。その時にどういう自分でいられるか、何を語る自分がいるのか、苦しい時は自分を見つめ直してください。さりげない優しさとともに、どんな時にも懸命になれる皆さんの姿勢は、これからの皆さんを必ず助けてくれます。あきらめない姿勢は必ず何かを生み出します。

 さあ、数々の思い出がつまった上尾高校の校舎と別れ、新たな「先生」や「友」との出会いとともに、皆さん一人ひとりの希望にあふれた新しい扉が開きます。苦しい時には、楽しかった上尾高校での日々を思い出し、いつまでも希望を語れる皆さんでいてください。

 AI社会の到来と言われますが、新型コロナウイルスの解決にAIはその力を発揮できずにいます。物事の解決には蓄積されたデータに人の知恵とアイデアが必要だと改めて考えさせられました。ウイルスの研究やワクチンの開発。見えないものへの恐怖にパニックを起こさない心理の研究。在宅ワークを可能にするITネットワークの構築。オンライン教育プログラムやウイルスの付着を防ぐ商品の開発など、解決できるのは皆さんです。上尾高校で培った粘り強さに豊かな発想をプラスして社会に貢献してください。期待しています。

 桜舞う4月、多くの仲間と出会ってから3年、いつの間にか時は流れ、今日は卒業の日。皆さんが残してくれた思いや情熱、皆さんが示してくれたあきらめない姿勢は後輩にも私たちの心の中にも、いつまでも受け継がれていくことでしょう。一人一人の夢の蕾が、やがて花開くことを願っています。3年間皆さんを見守り、励ましてくれた保護者の皆さまも、本日のご臨席は叶いませんでしたが、同じ気持ちだろうと思います。感謝を忘れないでください。これで最後になるのかと思うと切ない思いでいっぱいですが、この状況が終息し、皆さんがまたどこかで再会してくれることを願い、そして素晴らしい卒業生の門出を祝し、式辞といたします。「卒業おめでとう。」

 

 保護者の皆さま、関係者の皆さま、本日は誠におめでとうございます。本校教育の推進にご理解とご協力を賜りましたことを、この場をお借りして厚くお礼申しあげます。卒業式を迎えたお子様の姿をご覧になり、感激もひとしおのことと存じます。本人たちの努力もさることながら、皆さまに支えられ、励まされ、応援をいただきながらこうして卒業を迎えました。お子さまを通じて生まれましたこのご縁、引き続き、上尾高校の発展のためにお力添えくださいますようお願い申しあげます。

 DVDを制作いたしました。4月中旬ごろまでには各家庭にお送りいたしますのでご覧ください。本日は、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。

 

                令和2年3月14日 埼玉県立上尾高等学校長 林 昭雄

 

倫理の授業

        

            

 

 昨日は、「自分の考えを人に伝える」授業です。自分の興味関心があるテーマについて調べ、レポートを作成し、グループ内で発表するというものでした。この日は1学年の3クラスで行われました。「アプリとスマホの使い方」「環境問題」「食品ロス」「ブラック企業とは」「働くということは」「地球温暖化について」「制服について考える」など、テーマは多岐にわたっていました。

 先生から「伝え方のポイント」や「発表の聞き方」などの説明を聞き、いよいよスタートです。1人5分の説明の後、質問タイム2分。「この間誰もしゃべらない沈黙の時間があってはいけない」と最後の説明があり発表開始!

 資料をつくり、それを見せながら、自分の言葉で説明できた生徒もいました。原稿を読むだけの生徒もいましたが、これから経験を重ねるごとに上手になることと思います。

 発表者をリスペクトするコメントや質問が多く出ていたのが印象的でした。入学して1年がたとうとしていますが、生徒の成長を感じた一日でした。

 

研究授業のとなりの教室

 

 研究授業の隣の教室では「数学」が行われていました。今日は「証明」。先生が説明した後は演習です。解答が出来上がったら教室後方で待つ先生に解答を見てもらいます。合格すると、「まだ未解答の生徒は、その生徒に説明してもらっていい」というルールになっているようです。しばらくすると教室内を歩く生徒がだんだん増えてきました。あちこちで説明する生徒の声がします。
 「全員正解、というわけにはいきませんでしたが、多くの生徒が理解してくれたようです」と授業者は話してくれました。

初任者研究授業

         

               写真1               写真2

         

             写真3             写真4

 

 2月14日(金)今年度本校に着任した初任者の研究授業が行われました(写真1)。「1年間の研修の成果となるよう授業を行うので参観してください」との呼びかけに集まった教員は20人超(写真2)。「イスラーム王朝の変遷」をテーマに行われました。前時にはグループで「イスラーム王朝の変遷についてポスターを作り(写真3)ワールドカフェ方式による発表」をしていました。
 明るく、授業者の発問にもよく反応しているクラスです。教員の説明をプリントやノートにメモする生徒も多い印象がありました。
 授業の終わりは振り返りです。今日の授業で学んだことを自分の言葉で書き記します(写真4)。生徒の表情は、この時が一番真剣でした。50分の授業を頭の中で再生しているようでした。
 終了後、私は授業者と授業について振り返りました。生徒の振り返りの内容について聞いてみると、「イスラームの世界がどのように拡大・分裂していったのかについて記述されていたので、授業の内容を生徒は理解したと思っています」と話してくれました。
 参観者一人一人に感想を聞き、教科で授業を振り返りながら、初任者はもちろんですが他の教員の授業力も向上していくことと思います。

 

北関東総体2020「まが玉づくり」

  

    

 

 北関東総体2020埼玉県実行委員会から協力要請されていた、大会参加選手に贈る手作り記念品「まが玉づくり」を行いました。

 埼玉県高校生活動推進委員の本校生徒が、県立さきたま史跡の博物館で「まが玉づくり」の講習会を受講し、そのノウハウを本校生徒に説明して作成されました。

 削っても削ってもなかなか丸みを帯びない「まが玉」に悪戦苦闘しながらも頑張っておりました。

 

新人大会の途中経過、日商簿記1級合格

各運動部では新人大会が始まっています。

男女バレーボール部が南部地区予選を勝ち抜き県大会へ出場します。

サッカー部も、伊奈学園に2-1で勝利し、南部地区3回戦に進みました。

 

課題意識をもって取り組んでいる日ごろの練習の成果が発揮され、うれしく思います。

 

また、簿記同好会商業科3年生が、「日商簿記1級に合格」し、21日の読売新聞と22日の埼玉新聞に記事が掲載されました。覚悟をもった努力の末に勝ち取った合格、その姿勢に感激しています。

3学期始業式講話

本日の始業式で以下の話をしましたので参考にお読みください。

 今朝は、20分台に北上尾駅に着く電車に乗っている人はわずかだった。意識の変化を感じる。大変すばらしい。続けてほしい。

 今日の終業式は、いつもと少し違う。ハワイからお客様が来ています。「プナホウ高校の生徒16名と先生2名です。後ろを向いて拍手で歓迎しよう!「Welcome !Punahou School! Welcome to Ageo High School I’m glad to meet you. Enjoy Japan and enjoy our school Life」(生徒は拍手)

 さて、終業式では、ノーベル化学賞「吉野彰先生」の話題で人生の「転機」について話をした。「ろうそくの科学」を読んだことが転機だった。何かをしたい、一歩踏み出したい。でもできない。そんな人は多い。今日はその転機を自分のものとするためにどうすればいいか、話をしたい。

 クラウドサービスの会社の一つに「サイボウズ」という会社がある。1997年松山、2DKの一室で創業して23年。今では一部上場、社員500名を超える会社に成長した。そこの青野社長、大阪の大学を卒業し、パナソニックに就職。「それなりに頑張ればなんとかなる」と思って人生を送り会社を立ち上げた。

 「転機」は、仕事で様々な人と会うことで訪れた。様々な人(社長)と話をするうちに「自分より才能のある人などいくらでもいる。自分より努力する人もいくらでもいる。自分より運のいい人もいくらでもいる。頑張ればなんとかなる。などあり得ない。命を懸ける想いで取り組まなければ、ここから先には進めない。「頑張る」のと「命を懸ける」のではレベルが違う」ことを痛感した。「転機」ですよね。

 この日以来、座右の銘は「真剣」。「真剣」という言葉は、本物の刀同士で戦う勝負について「真剣勝負」と表現したことが由来となっている言葉。刀同士で戦っているため、命の危険を冒しても本気で取り組むという意味だと理解したそうだ。果たして自分は真剣だったのだろうか。何度も何度も自分に問いかけた。答えはノー。明確にノーだったそうだ。「自分がこの分野やこの会社について一番詳しいのだから、自分が社長をすれば何とかなるだろう」くらいに軽く思っていたそうです。そして、「とにかくこのサイボウズという組織がよりよい状態になることに全力を尽くそう。1人の経営者として、世の中でどのような評価をされてもかまわない。できることに集中しよう。」って考えた。「本当に大切にしたいことはなにか。大切にしたいことのために、今できることはなにか。」その問いを毎日毎日とにかく繰り返したそうだ。それは「覚悟」と言ってもいいものだった。

「覚悟」と言っても、そんなに簡単に「覚悟」なんてできないって、みんなは言うかもしれない。F1ドライバーで山本左近という人がいる。F1は時速250㎞から300kmの世界。新幹線のスピードを地上すれすれで体感している。怖いなんて言うものではないだろう。F1レーサーでも、レースに出る覚悟がなかなか決まらないときがあるそうだ。自分自身でもそれがわかっているから、本当にもどかしく、苦しいものらしい。そんな時どうするか、この人の場合、それを克服する秘訣は「ご飯」にあるそうだ。心が折れそうなとき、いかに自分を奮い立たせるか、いかに前を向くか。「勝負メシ」を食べていくうちに、「よし、行くぞ」という気持ちになるのだという。イチロー選手も試合前に「カレー」を食べるとか聞いたことがある。一流の人たちは、何かそういうものを持っているのかもしれない。

「転機」が生まれるのは、「慣れ親しんだ場所から出るとき」「新しいことを学ぶとき」「優れた人の話や文章に触れて、自分も真似してみようと思ったとき」。そして、行動に移し「覚悟」によって「限界を何度も越え」新しい自分に出会い、新しい自分を知ることで人生が開ける。

 3年生は、覚悟をもって準備してきた大学入試が、もう少しで始まる。ぜひ力を発揮してほしい。

「覚悟があるかどうか」は「行動に現れる」。「みんなは頑張っている、努力もしている」。それだけでなく、「覚悟をもって頑張る」上高生が多くなることを期待する。

 

 

終業式講話

終業式で以下のような話をしましたのでお読みください。

 

 先日これまでの遅刻者数の報告を受けました。過去数年で最も少ない。一昨年が少なく昨年は増えてしまった。これが限界かと思っていた先生方もいたが、見事に最少記録を更新した。うれしいことです。朝北門に立っていると、手に問題集か英単語の本かわからないが、手に抱えて登校する男子生徒もいる。日に日にそれがボロボロになっていく。これもまたうれしい。成果につながってくれればと思う。

 昨日の芸術鑑賞会では、総合司会の方が「チャンスをつかんでほしい」という話をされていた。今日は人生の「転機」について話をします。先日、ノーベル化学賞を受賞したのは「吉野彰さん」ですよね。表彰式がありました。受賞理由はわかっているかと思いますが、リチウムイオン電池を開発した功績によるものです。リチウム電池は、パソコン、スマホ、電気自動車など、様々なところで使われています。スマートフォンやノートパソコンが手軽に持ち運べるようになったのは、超小型で、繰り返し充電でき、長時間電気を供給できる、この「夢の電池」が登場したからです。リチウムは最もという形容詞が付くかどうか記憶があいましですが、軽い金属で、電気を生み出す反応を起こしやすい。原子の粒が小さいので、電池の電極に使うと小型で高出力の電池ができます。しかし、化学反応を起こしやすいリチウムの性質が災いして、発火や爆発の危険がつきまとい、そのままでは使えませんでした。その壁を打ち破ったのが、吉野さんです。マイナスの電極(負極)に特殊な構造の炭素材料を使うことで安全性を飛躍的に高め、小型化にも成功。だれもが使える電池に変えました。2年生は修学旅行に行くときに、リチウム電池は手荷物でと言われていたので覚えているだろう。

 吉野さんは、水泳が大好きなごく普通の子どもだったそうです。しかし、小学校4年生のときに、担任の先生から『ロウソクの科学』という本を読んでみないかと薦められました。「ロウソクはなぜ芯が必要か」「なぜ炎は黄色いのか」など、「おもしろいなあ」と思いながら読んだのだそうです。その本を入り口に、化学やものづくりに興味を持ったと振り返っています。しかし、中学・高校で一番熱中したのは水泳で、学校のプールでひたすら泳いでいたとも言っています。そんななかでも化学への興味は変わらず持ち続け、理科が得意科目になったこともあり大学は工学部に進み、大学院修了後は旭化成に入って研究職に就きました。

 吉野さんは、このように言っています。「いろいろなことを試し、刺激を受けてください。ボールを蹴る楽しさにひかれ、Jリーガーを目指す人もいるでしょう。私の場合は、それが『ロウソクの科学』でした。もしも失敗が続いたとしても、焦らないでください。ノーベル賞受賞者がそのテーマの研究を始めた年齢は平均37歳。私も33歳のときでした。いくら科学が発展しても、世の中にはわからないことがまだたくさんあります。いつかきっと、「これは!」というテーマが見つかります。それまでは、たくさん失敗をしてください。失敗から学んだ経験が、きっとあなたを成長させ、困難を乗り越える力になりますから。」

 オーストラリアやハーバードへ行って、その報告をしてくれた生徒、来年上尾市でも開催されるインターハイ、その準備の生徒代表として成長している生徒、部活動のコンクールや試合という場を与えられ、ひたむきに努力することで得られる結果、遅刻の減少、自分たちで指示書を読んでやる新しい理科の実験、映像を使った授業、説明や話し合いをする授業、学校行事の企画運営、補習や小論文・面接の練習、その取り組みは熱心です。学校では様々な刺激があります。それを自分で活用することで、みんなの持っている才能が目覚めます。これは「転機」と言ってもいいでしょう。そんなうれしい場面をいくつも見させてもらった。しかし、学校は「転機となるボール」をみんなに投げることやボールを探しだす場面を設定することしかできない。それを見つけ、あるいは受け止めて使うかどうかはみんな次第です。手に取って大事に育てるのか、見て見ぬふりをするのか、握りつぶして初めからなかったものとしてしまうのか。一人一人が自分を知り、自分の力、才能を伸ばすために、自分の手の中にあるボールを全力で活用してほしい。それを願っています。

 3年生はいよいよ受験です。最後は粘った人が希望を叶える。最後まで粘って粘って粘ってほしい。