修了式校長講話(成功体験から多くを学ぶ)
令和5年度修了式校長講話
ー 成功体験から多くを学ぶ -
人間(皆さんも)誰しもが「できた」、「自信が無かったが、何とか成し遂げられた」という成功体験をお持ちであろう。私にもいくつかそのような秘め事があります。思い返してみると、ほんのちっぽけであったことですが、自分にとって大きな自信となった出来事であり、のちに、永遠に心にしまわれていき、たまに引き出しから出して自慢できるものだと感じています。
・逆上がりができた ・100m泳ぎ切った ・リフティングができた
・変化球を習得した ・検定試験に合格した ・目標個数の英単語を覚えた
・語学をマスターした ・ダンスを習得した ・会社運営が軌道に乗った
・目標であった志望校や進路先に内定した
成功体験を大切にして生きていくことは、自己の成長やポジティブな心構えを促進する上で非常に重要なことです。成功体験は、自らの生き方に自信をつけたり、目標を達成するためのモチベーションを高めたりするのに役立ちます。
以下、何故成功体験を大切にする必要があるのか、その理由と方法をいくつか挙げてみます。
1 自己肯定感の向上:
成功体験は、自分の能力や価値を肯定的に評価する上で重要です。成功体験を振り返り、自分の達成できること、できたことを実感することで、自己肯定感(自分自身が今の、ありのままの自分を認めて尊重すること)が高まります。
2 モチベーションの維持:
達成した成功体験は、次の目標に向けてのモチベーションを維持するのに役立ちます。成功体験を振り返ることで、困難に直面した時でも前向きな姿勢を維持しやすくなります。
3 成長の証拠と学びの機会:
成功体験は、自分の成長や学びの証拠となります。成功したことから得られる喜びや満足感は、自己啓発やスキル向上の励みになります。
また、成功体験を大切にするためには、次のような方法があります。
1 振り返り:
成功した経験を振り返り、その時の感情や状況を思い出します。その成功をもたらした要因や自分の取り組み方を考えます。
2 目標設定:
成功体験を積み重ねるために、明確な目標を設定します。小さな成功を積み重ねることで、大きな目標に向けて進んでいきます。
3 共有とフィードバック:
成功体験を周囲と共有し、フィードバックを受けることで、さらなる成長や学びが得られます。周囲からのサポートや励ましも、成功体験を大切にする上で重要です。成功体験をした。努力の結果得られた仲間や周囲の人をほめるとともに、ともに喜びあうことが大切です。そうすることで他人から認知された仲間の心の中には、自信と勇気がわくと思います。
成功体験を大切にすることは、自己成長やポジティブな心構えを促進するだけでなく、より充実した人生を送るための鍵となります。前述したように、他人へのリスペクトは忘れないでください。
さて、遠い昔の記憶になるかもしれませんが、自転車に乗れた喜びとは、皆さんが最初に得た成功体験の一つではないでしょうか。
自転車は人力と器械が調和して初めて体(たい・てい)を成す乗り物です。初めて自転車と対峙するときは、二点しか地面と設置しないこの奇妙な乗り物が、果たして意のままに操れるものなのであろうか、疑問に思うことでしょう。乗れるまでにはとてつもない修練が必要であることは幼心に響くと思います。何度横倒しになってもめげずに、ペダルを踏み続けた人だけが、走る体感を得られるのです。その喜びは、幼少期であっても誰でも記憶に鮮明に残っていることでしょう。
そうした試練のあとの乗り心地とは、単調な平地を走る爽快さから、ギアを変えずに坂道を上る苦しさまで、人生そのものであり、人の生きざまそのものをあらわしているようです。
ゆっくり走れば不安定になり、速く走れば車体は安定する。その感覚を知ると、わざと倒れようと思っても倒れることはできない。私たちは行きたい道を自転車に乗り、操ることで、思うままの方向へ向かっていけるのです。
そこで、あらためて私たちは感じるのです。自転車に乗ることで、人生最初の成功体験と、これからどんな困難に立ち向かって意向とも、必ず1人で走っていける自信をもらったということを。
新たな春を迎えます。出会いと別れが旅立ちという名の下でやってきます。目の前の坂がどれだけ急かはわかりませんが、自分が行くべき道ならば、志した道であるならば、よろけることなく進みたいものです。そのために、体重を乗せてしっかりペダルを踏み続けましょう。踏んでいかねば転倒します。時にはギアを変えてスマートに。時にはスピードを上げて颯爽と。
そのひたむきな姿勢が自分を確かな成長に導いてくれるはずです。
皆さんの御活躍を心より期待しています。
校長 嶋村 秀樹