校長室だより

第60回卒業証書授与式 式辞

保護者の皆さま、在校生が不在でしたが、本日卒業証書授与式を挙行いたしました。

凛としたなかにも、卒業生からは本校への愛着が感じられ、立派な卒業式でした。

式辞を以下に掲載いたします。

 

 保護者の皆様も在校生もいない今日の卒業式となりましたが、この式場は先生方みんなで準備しました。心に残る、良い思い出となってほしいと願っています。

 着任間もないある春の日、電車の中で、座席に座る生徒を見つけました。北上尾ではないのに、鞄の中で何かを探す仕草をしていた生徒は、お年寄りが乗ってくるのと同時に席を立ち、違う車両へと向かいました。さりげなく席を譲る心優しさに上高生らしさを感じた瞬間でした。体育祭大縄跳びの大記録、参考書を手に登校した生徒、自習室で朝も放課後も学習に励む姿、相手を尊重し力の限り戦った部活動、最後まで遅刻が増えなかった皆さん、どれも、みんな上尾高校の誇りです。後輩は、記録を破ろうと日が暮れるまで大繩を跳び続け、英単語を手に登校し、遅刻も減らしました。あきらめないという大きな宝物を残してくれた皆さんに感謝します。

 努力する人は希望を語り、怠ける人は不満を語るとよく言われます。努力しても何日も結果が出ないことがあるかもしれません。その時にどういう自分でいられるか、何を語る自分がいるのか、苦しい時は自分を見つめ直してください。さりげない優しさとともに、どんな時にも懸命になれる皆さんの姿勢は、これからの皆さんを必ず助けてくれます。あきらめない姿勢は必ず何かを生み出します。

 さあ、数々の思い出がつまった上尾高校の校舎と別れ、新たな「先生」や「友」との出会いとともに、皆さん一人ひとりの希望にあふれた新しい扉が開きます。苦しい時には、楽しかった上尾高校での日々を思い出し、いつまでも希望を語れる皆さんでいてください。

 AI社会の到来と言われますが、新型コロナウイルスの解決にAIはその力を発揮できずにいます。物事の解決には蓄積されたデータに人の知恵とアイデアが必要だと改めて考えさせられました。ウイルスの研究やワクチンの開発。見えないものへの恐怖にパニックを起こさない心理の研究。在宅ワークを可能にするITネットワークの構築。オンライン教育プログラムやウイルスの付着を防ぐ商品の開発など、解決できるのは皆さんです。上尾高校で培った粘り強さに豊かな発想をプラスして社会に貢献してください。期待しています。

 桜舞う4月、多くの仲間と出会ってから3年、いつの間にか時は流れ、今日は卒業の日。皆さんが残してくれた思いや情熱、皆さんが示してくれたあきらめない姿勢は後輩にも私たちの心の中にも、いつまでも受け継がれていくことでしょう。一人一人の夢の蕾が、やがて花開くことを願っています。3年間皆さんを見守り、励ましてくれた保護者の皆さまも、本日のご臨席は叶いませんでしたが、同じ気持ちだろうと思います。感謝を忘れないでください。これで最後になるのかと思うと切ない思いでいっぱいですが、この状況が終息し、皆さんがまたどこかで再会してくれることを願い、そして素晴らしい卒業生の門出を祝し、式辞といたします。「卒業おめでとう。」

 

 保護者の皆さま、関係者の皆さま、本日は誠におめでとうございます。本校教育の推進にご理解とご協力を賜りましたことを、この場をお借りして厚くお礼申しあげます。卒業式を迎えたお子様の姿をご覧になり、感激もひとしおのことと存じます。本人たちの努力もさることながら、皆さまに支えられ、励まされ、応援をいただきながらこうして卒業を迎えました。お子さまを通じて生まれましたこのご縁、引き続き、上尾高校の発展のためにお力添えくださいますようお願い申しあげます。

 DVDを制作いたしました。4月中旬ごろまでには各家庭にお送りいたしますのでご覧ください。本日は、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。

 

                令和2年3月14日 埼玉県立上尾高等学校長 林 昭雄