校長室だより

2015年6月の記事一覧

野球部 登録メンバーに見る 教育制度の欠陥

野球部 夏の大会組み合わせ決まる
登録メンバーの生まれ月に見る
日本の教育制度の欠陥

初戦は7月11日第一試合 埼玉栄と
 昨日(6月23日)夏の甲子園に向けた埼玉県予選の組み合わせ抽選会が行われた。上尾高校の初戦は、7月11日(土)の第一試合(9時開始)、県営大宮公園球場、対戦相手は埼玉栄。スポーツ万能系の難敵だ。24日付の埼玉新聞には「1回戦屈指の好カード」と報じられている
 抽選会の日、今大会のメンバー表(選手資格証明書)が私に回ってきた。校長の決裁印を押し、コピーを手元に残してじっくり見る。まず目がいくのが選ばれた20人の学年だ。6月13日の激励会で決意表明した24人の3年生はどうなったか!? 
 登録されたのは3年生12人、残り8人は2年生だ。これまで一緒に頑張ってきた3年生24人の半数がプレーの機会を失い、サポートに回る。次にポジション、身長・体重、投打の左右、そして出身中学校を見る。
 しかし私が最も注目
するのは生年月日欄の生まれ月だ。それを集計すると下表のようになる。

本校だけの問題ではない
教育制度の重大な欠陥
 分布の偏りにお気づきだろうか。3年生12人のうち10人が4月~9月つまり年度の前半である。3年生7人、2年生2人のレギュラー(背番号1~9)を見ると、8人が9月までの前半、10月以降に生まれた選手は1人しかいない。
 上尾高校野球部には生まれ月の差別があるのだろうか。もちろん監督は実力を見極めて勝つためのチームを編成したはずだ。生まれ月で選ぶ指導者などいない。どの学校でも状況は同じだ。
 プロ野球の選手名鑑で58年分、5152人の生まれ月を集計したデータがある。最多は4月生まれの615人、最少は3月生まれの251人。その差は2.5倍もある。月別の人数を棒グラフにして4月から並べると、見事な右肩下がりの階段ができる。
 サッカーのJリーガーでも状況は同
じだ。ことはスポーツだけではすまないかもしれない。
 4月には能力の高い子供が生まれ、以降だんだん能力が下がっていき、3月で最低になる、ということでは、もちろん絶対にない。これは日本の教育制度の重大な欠陥だ。
 最大12ヶ月弱の月齢差のある6歳児を4月に一斉に入学させて、「学年」というくくりで扱えば、このような結果が生じる。小学校での教科のテストも運動会の50m走も、すべて同学年で比べられる。学校外の少年野球チームでも「学年」という区分けツールが使われる。
 4月生まれは常に有利な条件で成功体験を重ねて自信をつける。チームスポーツではより多くの出場機会が与えられ、経験値、実績を積み重ね、周囲の評価も定着する。4月生まれの好循環の一方で、3月生まれは・・・・。

低調な課題認識?
格差が生じないオランダの教育
 数年前、多くの小中学校の校長先生を対象に私が講演する機会があった。話のメインはオランダの教育制度だったが、イントロにこの野球選手の生まれ月の話をした。しかし、これといった反響はなかった。
 この状況を差別、あるいは人権問題と言ったら言い過ぎだろうか。少なくとも教育制度の欠陥と言えるのではないか。かの国の教育システムの下ではこのような不均衡は生じえない。
 文科省は最近、教育改革の一環として6・3・3・4制の弾力化を打ち出した。例えば小中一貫の9年生の学校を作ってもよいと言う。6→3の接続で生じる「中1ギャップ」の解消が目的の1つとされている。近年、幼保一体化も超スローテンポながら進められている。
 しかし、私は一連の教育制度改革の中で、生まれ月のハンデキャップの議論を見聞したことがない。
 この問題について情報をお持ちの方、解消法に興味のある方、ぜひ意見交換を願いたい。
 すでに学校生活を送っている生徒たちに言えることとして「将来、子供を持つなら、早産のリスクも考慮して計画的に5月~6月の出産を目指しなさい」と本稿を結ぶこともできるのだが・・・・。
 「本人が選べない生まれ月による理不尽な不均衡が生じない仕組みを一緒に作っていこう」と呼びかけるのが本筋だろう。

野球部 激励会「勝つカレー」  3年生が決意表明

野球部 激励会 「勝つカレー」
夏の大会に向けて 3年生が決意表明!

 今日(6月20日)野球部の保護者会の皆さんが、本校の食堂で手作りの「勝つカレー」を振舞ってくださった。毎年恒例の激励会である。私もご招待いただき、おいしい「勝つカレー」をいただいた。会場は選手、マネージャー、指導陣、そして、お父さん、お母さん、弟、妹・・・・総勢200名近い人で溢れた。
 食後には3年生24名の選手たちと女子マネジャー2名が一人ひとりあいさつした。夏の大会に向けた強い思い、過去の敗戦や失敗から学んだこと、仲間や先生方・両親への感謝、不甲斐ない自分への悔しさ、それぞれが自分の言葉でいまの思いを語った。
 一戦必勝、完全燃焼、自分がチームのためにできること、勇気を持って全力で、いい顔で終わりたい、馬鹿になってやる、上尾高校の野球のすばらしさを証明する、かっこいい男として誇りを持って戦う、努力するしか道はないのに楽ばかりしてきた自分を変えたい、気が狂ったようにグラウンドで暴れる・・・・

 応援歌として下級生がいきものがかりの「風が吹いている」を熱唱。最後は校歌とエールで全員の気持ちが一つに。

保護者会からの贈り物: 戦国時代の武将が出陣前に食べたという勝ち栗と昆布、「上尾高校」キーホルダー
3年生全員、選手24名マネジャー2名の「決意表明」ボード

さようなら パーカー君  上高生も世界に飛び出そう!

さようなら パーカー君 
上高生も世界に飛び出そう!

 昨日(6月19日)、生徒会役員選挙の立会演説会に先立って、昨年9月から本校に留学していたアメリカ人留学生パーカー・ハミルトン君の帰国のお別れ会を行いました。
 彼はロータリークラブ(RC)の交換留学で来日し短期間で日本語をマスターするなど大きな成果を上げました。部活動でも柔道部で練習に励み帰国直前に初段を取得しています。立ち居振る舞いも「日本人」。アメリカ帰国後は大学進学予定だが、まだ専攻分野の詳細は決めていない、スペイン語はぜひ学びたいとお別れ会の前に私に話してくれました。
 全校生徒を前にしたスピーチでは英語に続き、在日10ヶ月とは思えない流暢な日本語で上尾高校での多くの人たちとの出会い、感謝の気持ちを語ってくれました。近い将来、彼は必ず有能な親日家の国際人として活躍するでしょう。
パーカー君の写真はこちら

 ロータリークラブはこのような留学生の支援をずっと続けています。この交換留学制度は、もちろん上高生も利用できます。ぜひ海外へ積極的に飛び出して行ってほしいと思います。RCが費用の大半を援助してくれるだけでなく、留学先の学校の確保、事前の研修やホームステイを含む生活支援をしてくれます。
上尾RC
国際RC2770地区

 また、埼玉県も「埼玉発世界行き」のキャッチフレーズの下、姉妹都市への交換留学や留学奨学金(返済義務なし)など、全国でも有数の手厚い留学支援を行っています。
埼玉発世界行き

 ウチの二男も一昨年、これを利用して留学させてもらいました。私は留学経験はありません。もう一度高校生か大学生に戻れたら行ってみたいなぁ・・・。