2016年1月の記事一覧
夢から目標ヘ
夢から目標ヘ
学校HPトップの新着情報には、いつも様々な部活動のニュースが並んでいる。上尾高校の自慢である。残念ながら今回そこに「甲子園出場」のビッグニュースを加えることはできなかった。
春のセンバツ大会出場校が発表された1月29日。私の体験を少し書き残しておこう。
上尾高校野球部は、11月に21世紀枠の埼玉県の代表に、そして12月には関東・東京ブロックの代表に選出され、そこから俄然注目と期待を集め始めた。新聞各紙の取材が続く中、迎えた運命の日。21世紀枠全国9校の候補のうち、選ばれるのは3校だけ。
前日から新聞社やテレビ局から次々に取材の申し込みがあった。狭い校長室に報道陣が入れないため、大会議室にテーブルを並べ会場を設営した。私はそこで吉報を待つ役を務めた。発表は15時。選ばれた学校にだけ電話連絡が来る。
NHKなど3台のテレビカメラと20人を越える記者たち、そしてPTA・後援会、野球部のOB会・父母会などの関係者が会議テーブル上の電話機とそれが鳴るのを待つ私の姿をじっと見つめている。しーんと息をのむ時間・・・・。わずか数分間がこれほど長く感じられたことはない。初めて味わう緊張感。15時を回り、記者たちがスマホで速報をキャッチし、かすかに会場がざわつき始めた。目前の電話は鳴らなかった。
1月29日16時、冷たい雨が降り出す中いつもと変わらぬ溌剌とした姿があった
少数の記者がその場を去ったが、多くはとどまり私を囲みコメントを求めてきた。そうして私が時間をつないでいるうちに6時間目終了のチャイムが鳴り、髙野監督、少し遅れて2人の主将、増田陸と大橋健が会場に入り、記者たちのインタビューに答えた。
少数の記者がその場を去ったが、多くはとどまり私を囲みコメントを求めてきた。そうして私が時間をつないでいるうちに6時間目終了のチャイムが鳴り、髙野監督、少し遅れて2人の主将、増田陸と大橋健が会場に入り、記者たちのインタビューに答えた。
「これまで通り・・・、今日を機に一層・・・」指揮官はいつものように穏やかにしかしはっきりと夏に向けての強い思いを口にした。
2人の選手たちの気持ちももちろん同じだ。自分たちは野球だけ強くなろうとしているのではない、野球を離れた生活のすべて、街を歩くときの姿勢まで・・・そんな言葉で他校との違いを語った。主将が2人いることについて聞かれると、一人ではチームをまとめきれない、お互いが必要と口をそろえた。そして選手全員がキャプテンだという気持ちを持っているとも。
選手たちの話を聞いていると、甲子園は「夢」ではなく手の届く「目標」なのだと実感した。
2人の選手たちの気持ちももちろん同じだ。自分たちは野球だけ強くなろうとしているのではない、野球を離れた生活のすべて、街を歩くときの姿勢まで・・・そんな言葉で他校との違いを語った。主将が2人いることについて聞かれると、一人ではチームをまとめきれない、お互いが必要と口をそろえた。そして選手全員がキャプテンだという気持ちを持っているとも。
選手たちの話を聞いていると、甲子園は「夢」ではなく手の届く「目標」なのだと実感した。
インタビューが終わる頃、グラウンドからいつもと変わらない野球部の練習の掛け声が聞こえてきた。