校長室だより

2020年4月の記事一覧

4月24日(金)夕立がありましたが、その後、本校野球場3塁側に虹が現れました。

良いことがきっとある!

 

年度当初に生徒に配布した文書

生徒の皆さんに伝えたいこと  

 元気に登校してくれたことをうれしく思います。新型コロナウイルスの感染防止の注意点は、3月24日・25日に各クラスで配布した資料のとおりです。今一度意識を新たにし、自分自身が感染しないことはもちろんですが、若い世代のみなさんが爆発的感染拡大の引き金にならないように行動してください。行ってはいけない場所、してはいけないことをしっかり考え、上高生として自覚をもってください。登校に不安を感じる生徒もいます。それぞれの考えを尊重しながら、みんなでこの難局を乗り越えて欲しいと思います。

 さて、もう6年も前になるでしょか、ある新聞に、歌手であり音楽プロデューサーである〝つんくさん"の手紙が載っていたのを思い出しました。夢だった「モーニング娘。」のニューヨーク公演が叶いアメリカに到着した矢先、つんくさんには、病院からあることを告げる電話がありました。喉にできたガンの再発、声帯を切除しなければ命の保障がない状況を伝えられたのです。歌手としての絶望感に浸りながら、ライブ当日、メンバーに語りかけた言葉は、「歌えるありがたみを忘れるな」という言葉でした。もうこの声では歌えない。自分もこの街で歌ってみたかった。そんな思いが込められていたのでしょうか。

 高校生の皆さんに対しては「学べるありがたみを忘れるな」という言葉がふさわしいと思います。新型コロナウイルスにより、3月は登校することもできませんでした。これからもしばらくは登校できないかもしれません。世界には発展途上の国を中心に約3億もの未就学児童生徒がいます。実に世界の子ども5人に1人が勉強できずにいます。皆さんは、保護者の方に支えられた「学べるありがたみ」を再認識し、高校生として学ぶことの意義を考えて欲しいと思います。

 学ぶことは、新しいことを知り、出来なかったことが出来るようになることです。それによって社会のルールを覚え、仕事を得ることができます。さらに物事に親しむための知識や技能が得られれば、自分の人生をより豊かにすることができます。これは、いわば自分のための学びです。学びのもう一つの意義は「貢献」できる人材に成長することです。私たちは何かの集団に属し、助けたり助けられたりしています。今皆さんが身につけている服、座っている椅子、使う教材、毎日口にする食材など、ほとんどは自分以外の人が作ってくれたものです。社会で生きる人々は、自分ができることを人のために行っています。世の中の誰かの発明や技術、たくさんの人の苦労が、私たちの生活を豊かにしているのです。社会で生きることとは、自分が出来ることを通して世の中に貢献することです。自分がどのように「貢献」していくのか、常に考えなければいけません。

 学校は、社会に出る準備の場です。「変化と多様性」が今の社会の象徴です。AIなどの技術革新、少子高齢化による社会構造の変化、職業や働き方などの変化に加え、国を超えて人や物や金が行き交うこれからの世界では、価値観や文化の異なる多様な人達と理解し合い協力していかなければなりません。このような社会で生きる皆さんには、他者と関わり合う中で、自分の考えをまとめ、それを表現でき、責任感をもって主体的に行動できるようになって欲しいと思います。そして、他者の尊重、対話を通した協力、社会の課題に対する取り組み、部活動や体験的な学習、様々な行事などを通してたくましく成長してください。上尾高校は社会の中で生きる力を育むことを大切にする学校です。地域の皆様に愛され、文化と伝統が息づく学校です。様々な機会を有効に生かし、「夢」を持ち「努力」し「感動」することを繰り返しながら、「学べるありがたみ」とともに「友と出会えるありがたさ」を感じながら、充実した高校生活を送っていただきたいと願います。