校長室だより

2022年12月の記事一覧

早いもので卯年の年男 2学期終業式 校長より

 

令和4年度第2学期末終業式 式辞

 

 

 早いもので今年も終わろうとしています。一年の計は元旦にありと言います。今年できなかったことや、継続していきたい事柄などがありましたら、年頭初詣の際に、声に出しながら心に刻んでいただければと思います。新たな気持ちを明確に示すことは、気持ちの良いことですし、この後の1年を過ごす上でも大きな違いがあると思います。

 来年の干支は卯です。私は年男になります。干支は十二支といい、ひとまとまりとなっています。現代は10進数を多用することは多いですが、12という数字が生活の多くの場面で使われていることは注目できることです。干支、星座、音楽の音律、度量衡、ダースやグロス、円の角度、時計など数えたらきりがありません。元来月の満ち欠けが年に12回あることに由来しているそうです。先ほど申しましたが、公務員の定年年齢は60歳、干支の12×5です。たかが12年を5周しただけですが、お達しとして、君は第二の人生に向かえという指令が来るわけです。

 人生100年、少し前は80年、50年等と言われてきました。長生きになったものです。定年延長もささやかれている中ですが、これからの人生も充実して生活できればと考えています。こうして皆さんとお話しできるのも残り数回なのか否か?年男として最後まで職務を全うできればと、考えています。

 これからの長い人生を有意義に過ごすにはどうしたらいいのでしょうか。時間は待っていません。光陰矢の如し。以下の漢詩を紹介します。

 

 「偶成(ぐうせい)」  朱熹(しゅき)

          朱子学とは、南宋の朱熹によって構築された儒教の新しい学問体系である。

 

 少年(しょうねん)老(お)い易(やす)く学(がく)成(な)り難(がた)し

 一寸(いっすん)の光陰(こういん)軽(かろ)んずべからず

 いまだ覚(さ)めず池塘春草(ちとうしゅんそう)の夢(ゆめ)

 階前(かいぜん)の梧葉(ごよう)すでに秋声(しゅうせい)

 

  偶 成たまたまできた詩

  少 年若者 「少」は若い

  光 陰光と影 「光」は昼・「陰」は夜 時間

  池 塘池の堤

  階 前きざはしの前 「階(きざはし)」は堂に上る階段

  梧 葉青桐の葉

 

【現代語訳】

 若年層の人間が年老いていくのはあっという間であるが、学問がものになるのはたいへんに難しいことなのである。

 だから、わずかな時間も惜しんで一生懸命に勉強すべきなのだ。

 春に池のほとりに草がゆらぐのを見ながらうつらうつらと夢を見ていたかと思うと、

 庭先のアオギリ(落葉広葉樹)はもう秋の気配を帯びている。

 

 今が学をおさめるには待ったなしの時です。闇雲に学問に向き合えというわけでもなし、かといって受験はあるし。私は就職だし、学問などは、と考える人もいるでしょう。しかし、受験はあくまでも自らの指針を決める一つの手段であり、進学後の学びによってさらに自己に磨きがかかるのです。また、他人同士との交わり、様々なバックボーンを持つ全国から集まる異年齢の人々と、交わり、苦楽を共にする。そんな関係性も学びの一つなのではないかと思います。

 

 私は、年齢を重ねてきてふと思うことがあります。

  教養のないことがいかに恥ずかしいことか。

  若いうちになぜもっと学問に対して探究できなかったのか。

  なぜ多くの趣味を持てなかったのか。

  家族や友人との時間をもっと多く持てなかったのか。

 

 多くの学びの姿が、きっと皆さんの成長を後押ししてくれるはずです。様々なことに関心を持てるよう、年始(冒頭)にしっかりとした目標を掲げましょう。

 

 お互いにまだまだ成長できるはずです。そうです、集中して物事に向き合えるにはあまりにも時間は少ない。そう考えながら、まとめの時期である3学期を迎えましょう。